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車椅子

車椅子について

頚損や脊損の方の車椅子の作成はどのようにすればいいのでしょうか?

まず、作成の時期です。
基本的には身体障害者手帳の補助を利用して車いす作るため、手帳(下肢障害)がないと車いすは作成できません。
よって、手帳が申請できるケガをしてから半年までは車いすを作成できません。

ただ、明らかに感覚も運動もない場合では、自治体が3か月で申請しても認められる場合がありますので、医師やソーシャルワーカーに確認が必要です。

また、労災保険がある場合は、労災保険を使用して作成し、交通事故の方は民間の任意保険が最優先となりますので、ご注意ください。なお、民間保険で自己の被害者の場合は最高グレードの車いすの購入も可能です。

続いて業者さん選びです。といっても2つの意味があります。
製造メーカーと車椅子の販売業者です。製造メーカーが販売までしていることもあります。
車椅子の製造メーカーは主要なところでOX,松永、Nissin、NIck、カワムラ、Mikiなど外にもたくさんあります。

様々なメーカーで種類もパーツも多いため、初めて車いすを作成する方は、どれを選択していいか非常に難しいでしょう。よって、ほとんどの場合はリハビリ病院での出入り業者によって決まるのではないでしょうか?
よって、車いすを販売、調整してくれる業者さんとセラピストの趣味嗜好によって、多くの場合、車いすが決まります。

さて、車椅子で重要なのは業者選びもさることながら、車いすを自分の体に合わせるという作業です。
近年は、モジュラー型車いす、オーダー型車いすといって、人それぞれの身体や活動に合わせた車椅子が調整できる機能をもっており、これを選択するのが頚損・脊損の方の場合、常識になっています。
車椅子を体に合わせることができないと、どんなに高機能な車いすに乗ってもその価値が発揮できません。

ここで問題となるのが、業者さんとセラピストの車いすの力量です。かなり知識と経験の差がでます。
そこで、知っておきたい車いすの情報をお伝えします。

車椅子を選ぶ視点

@走行しやすさ
A移乗しやすさ
B座りやすさ
C見た目
(D価格)
の4つの視点があり、これらを重要な指標軸として考えます。
走りやすくても移乗しにくいとか、移乗しにくくても楽に座れるというように考えます。
B座りやすさとC見た目は、個人の直感でいいので、割愛します。

走行しやすさ

では、走行しやすさを決めるのは
・前後差
・車軸の位置
・手袋
・背もたれの種類と高さ
・重さ
・キャンバー角
以上6つを知っておけば良いと思います。

前後差

車いす座面の前と後ろの高低差です。
車椅子が前より後ろの方が低くなることで体が車いすにフィットし、一体化することで上肢の操作性が高まります。一般的には3センチ〜5センチでしょう。
しかし、移乗するときに頚損の方だとプッシュアップしにくいので、前にお尻がでず、お尻が前に進んでも傾いているので戻ってきます。

車軸の位置(前後と高さ)

前後は車いすをこいだときに、前輪(キャスター)がうかないか、また一定の力を加えた時にキャスターが浮く必要があります。車軸の高さはキャスターが車いすをこぐときに、10時〜11時の位置から3時の手前くらいとなるようにします(個人差が非常に大きいので注意です)。

手袋

車椅子グローブの業者さんは吉徳技研、MSY、リムメイト、ダイヤ工業があります。小さい業者さんはあるようですが、メジャーでは4つです。
グローブを選ぶ基準は3つ
・グローブの素材(革かビニール)
・滑り止めの素材(生ゴムか合成ゴム)と耐久性
・取り外しの工夫と自助具
結論から言いいますと私はMSYを多用しています。
これは、革でできているため、手になじむこと、またパンチングがしてあるので、ムレにくいこと、裏地に布を当てて伸びにくくしていることです。

また、生ゴムなので、滑りにくいです。ただ、ずっと使用できるものではなく、定期的に交換するものです。車いすの出入り業者さんがゴムの交換ができないのであれば、また、交換したくないというのであれば、生ゴムは避ける必要があると思います。
そもそも、使用頻度によりますが、滑り止めは一定数使用していると、結局はボロボロになりますけど・・

頚損の方でC6の方ではグローブの脱着が難しいことがあります。
このような場合は、市販品ではMSYが輪っかをつけたものと、ベルクロのものがあります。

結構、高額なので、頚損のリハビリをしっかりやっている施設は、既製品に工夫をして自己での脱着ができるように作業療法士が作成してくれるはずです。
また、車いす業者の中では、ひもとカシメを利用した修正を引き受けてくれる業者さんもありますよ。

車いすグローブではショートタイプとロングタイプがあります。
対麻痺(手の麻痺がない)のかたは、間違いなくショートを購入されるべきですが、C6の方ではショートとロングで迷うことがあります。
ロングを選ぶ方は車いす駆動の時に、指や指の根本ではなく、手関節部周囲を当てて車椅子を駆動する方となります。

良くある話ですが、訓練当初はロングを使用していたけど、あとになって邪魔になりショートがほしくなるというケースです。
値段が高額であり、作成まで最短で1か月は要するため、ロングを購入してやっぱりショートが良かったというのはクレームになります。
わたしは、かならず本人さんへロングとショートの両方を試着して自己責任で選択するように伝えます。

最後に覚えておきたいこととして、車いすグローブで生ゴムでは、
・雨の日に非常に滑りやすくなること
・自分の手の大きさを測ってから購入すること。
・車椅子グローブの革性はハンドメイドなので、たまに自分の手にあっていないことや、カフつきの場合は角度があっていないことがあるので、修正をしてもらえることです。

背もたれの種類と高さ

一般的に背もたれは布製かジェイのような硬い素材です。

布製ではベルクロの調整が重要です。本人の安楽さと車椅子駆動時の安定さで決まります。
もちろん骨盤の傾きも重要視しますが、骨盤を寝かせる(仙骨座り、王様のようにふんぞりかえる座り方)もある一定まで許容しています(骨盤を寝かせることで生じる腰部の血液循環と圧を評価します)。

ジェイバックは個人的には好きなのですが、皆さんに注意点を知ったうえで使用して下さい。
好きな理由は、やはり姿勢が安定するということです。布製の背張り調整では、得られない反力があり車いす駆動時や車いす上での動きのときには非常に役立ちます。見た目もよいです。

注意点は
・車の上部に車いすを格納するキャリアをつけるかたは、ジェイバックを外す必要があります。
ホームページでは簡単に外せるということが書いてありますが、自分でしっかりと確認してください。

・助成対象は頚損で身体障害者手帳の体幹障害がないと補助がおりません。自治体によっても様々なので、経験のある販売業者さんにお聞きください。民間保険がファンドの場合は作成できますよ。
補助の対象になるかどうかは、車いす業者さんに確認を取ってください。

背もたれの高さは一般的には肩甲骨の下にしますが、本当に人それぞれの身体機能や能力によって変えます。
車椅子で安定した姿勢がどれだけとれるか、また動けるかがポイントです。
しっかりと車いす上で動くリハビリをしたうえで背もたれの高さを決めてください。

首から上しか動かないから、背もたれは頭部までというように、安易に決めてはいけません。
ある方は、首から上しか動かないのに、肩甲骨の真ん中くらいの高さしかないモジュラー型車いすに乗っています。

重さ

一般的に車椅子のフレームの素材で重さが変わります。
素材の軽さはクロム、アルミ製<チタン<カーボンという順序です。価格はこの順序です。
アルミだから重いということはないですよ。アルミでも12sくらいのものはあったはずです。
車椅子はこれらの素材をパーツで使い分けて作成します。
なんといっても軽量なのが、カーボン製です。これに乗ったら、軽すぎて他の車いすが重くて乗れないというくらいです。ただ、とにかく高額なのです。車体で60万〜80万します。

軽量車椅子の代表格がパンテーラです。カーボンは松永製作所やNissinにもありますが、パンテーラよりも重いです。
車椅子を選ぶというのは、重量という視点だけではないので、吟味したうえで決めて下さいね。
軽いということは、移乗の際に車椅子が動きやすいということになります。
一定の重さも必要な場合があるのです。

キャンバー角

車椅子のタイヤの角度がキャンバー角です。車いすバスケットやテニスではキャンバー角が非常に大きくなっており、車いすが旋回しやすくなっています。通常は約3度に設定するのではないでしょうか?
キャンバー角を大きくしすぎると、タイヤの摩耗が早くなり、また車いすの車幅が大きくなる欠点があります。

(2016.1現在)

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